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近年増加している実家リフォーム・リノベーション
実家のリフォーム・リノベーションを行う目的は、「高齢になってきた親が暮らしやすいように」
「実家に戻って同居をするため」「経年劣化のため」などご家庭により様々な事情があるかと思われます。
以前は既存の家を一度取り壊してから新しい家を建てる”建て替え”が多数を占めていましたが、
近年ではリフォーム・リノベーションを選択される方が増えています。
今回のコラムでは、思い入れのある実家を住みやすくするためのリフォーム・リノベーションのポイントや、注意点などをご紹介いたします。
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実家のリフォーム・リノベーションを行うメリット
- 建て替えより費用が抑えられる
リフォームやリノベーションは、既存の家の構造部分を活かせるため、
全てを取り壊し一から建て直す建て替えよりも費用が抑えられます。- 馴染みのある環境で暮らし続けられる
両親・子世帯どちらにとっても慣れ親しんだ実家なら環境面の不安が無いのもメリットの1つ。
近隣関係も把握できているので、ご近所トラブル等のリスクが少ないのもうれしいポイントです。
- 相続の際に有利
確認申請が必要な建て替えは建物の評価額が上がり、固定資産税や将来の相続税が高くなりますが、多くのリフォーム・リノベーションは基本的に税金が高くならないため、ランニングコストや相続面で有利になります。
またリフォーム・リノベーションを行うことで建物を良い状態にできるため、相続後の売却や賃貸運用などの選択肢も広がります。
実家の耐久性に注意築年数の経った実家のリフォーム・リノベーションを行う際は、まず見えない部分の劣化具合や耐震強度など、建物全体の耐久性に注意しましょう。
土台や柱の状態が悪かったりシロアリ被害があったりすると、大地震時の倒壊リスクが高くなってしまいます。
また1981年の建築基準法改正以前の旧耐震基準で建てられている場合、耐震補強が必要になる可能性もあります。
リフォーム・リノベーションの前には必ず業者に依頼をし、屋根裏・床下などの見えない部分も点検、必要に応じて補修や補強も行いましょう。
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用途によって検討したい工事内容
高齢の親が住みやすくしたい
- バリアフリーリフォーム
住宅のバリアフリー化を行っておけば、将来足腰が悪くなったり車いすが必要になった際、
追加でリフォーム費用が掛かる心配がありません。
高齢の方は、少しの段差でもつまずいて転倒してしまい、骨折などの思わぬ怪我をしてしまうこともあります。
事故を防ぐためにもバリアフリーリフォームは不可欠と言えるでしょう。
・居室の間や玄関の段差をなくす・お風呂やトイレ、廊下といった場所に手すりを設置する
・建具を開き戸から引き戸へ変える
といった工事の検討してみましょう。
- ヒートショック対策
家の中が寒いというご自宅は、冬場などのヒートショック対策として浴室への浴室暖房機の設置や、
トイレ・洗面所に小型暖房機(ヒーター)の設置もおすすめです。
特に高齢者がお住まいのご家庭ではヒートショック事故のリスクが高いため、対策を行いましょう。
築年数が経過している住宅は断熱性能の見直しを築年数が経過している住宅は、断熱性能が低い場合があります。
長く快適に過ごしていくために、以下のような断熱リフォームの検討をおすすめ致します。
・壁・天井・床下に断熱材を施工する・既存の窓に内窓を追加する
・断熱窓へ交換する
ヒートショックのリスク軽減・光熱費の削減といった効果もあります。
高齢の親との同居
- ライフスタイルの検討
同居の場合はどのようなライフスタイルになるかを検討し、リフォーム・リノベーションを行いましょう。主に3つのタイプがあります。
【完全同居型】
玄関・キッチン・お風呂・トイレといった家の中の全ての設備を共有する。【部分同居型】
キッチン・お風呂・トイレなどの水回りは別、玄関は共有するといった、一部の設備を共有するタイプ。
プライバシーを確保しつつ、顔を合わせる機会を持ちやすいです。
【完全別居型】
建物は同じでも、玄関や水回りなど全て別に設けるタイプです。同じ屋根の下ではありますが、それぞれ別の暮らしになります。
- 場所別 共有or別に設けるか
【キッチン】
介護を行う場合はキッチンを共有にすると便利です。
共働き世帯や、食事の時間帯が異なる場合は別々に設けることをおすすめします。
キッチンを共有する場合でも、片方の世帯に簡単な調理ができるミニキッチンなど用意すると
良いでしょう。
【お風呂】
お風呂を共有すると、水道代や光熱費の削減に繋がりますが、入浴する時間が全く違う場合や、大人数の世帯の場合、別々に設ける方が便利です。
片方の世帯はシャワーのみ設置するという方法もおすすめです。
【玄関】
玄関を共有するかどうかで間取りが大きく異なります。
別々に設ける場合は、1階と2階にそれぞれ玄関を作る・玄関とは別に簡易な勝手口を作るという方法もあります。
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実家リフォーム・リノベーションの注意点
親名義の実家を、その子供がリフォーム・リノベーションを行う場合、子どもから親へリフォーム資金を贈与したとみなされるため、贈与税が発生します。
贈与税を抑える方法は、家の名義を親から子どもに変更する方法があります。
主な3種類の方法をご紹介致します。
- 実家を親から贈与してもらって名義変更をする
この方法は贈与税が課せられますが、築年数が経っている家の場合、「意外に贈与税が少なかった」というケースがほとんどです。
不動産を贈与するとその資産価値に応じて贈与税を支払うことになりますが、古い建物の場合資産価値が下がっているため、贈与税も少なくなります。
- 親子間で家を売買し、名義変更を行う
親から実家を購入して名義変更を行います。この際土地までは購入する必要はなく、建物のみで問題ありません。
築年数が経っていれば、固定資産税評価が下がっているので、その評価額で買い取ることが可能です。
不動産の売買の場合は取引価格を買主と売主で自由に決めることができます。
親子だから安く売るよと考える方も多いと思いますが、評価額との差があまりに離れてると、その差額分をみなし贈与と判断され、贈与税がかかってしまうケースもあるため注意しましょう。
- 親と子どもの共有名義にする
子どもが負担するリフォーム費用と、親名義の家屋の評価額とのバランスをみて、
家屋の一部を親から子どもに名義変更をして共有名義にする方法です。
バランス良い割合で共有名義に出来れば、住宅ローン控除も適用になり、贈与税も発生しません。
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まとめ
実家リフォーム・リノベーションは、将来を見据えてご家族の年齢や健康状態・ライフスタイルは
もちろんのこと、税金など考えることが多岐に渡ります。
業者へ相談する際は、築古物件の改修工事・二世帯(三世代)住宅化の経験があるなど、
ご自身の目的に合ったプランニングができる業者に依頼することも重要です。
思い出のたくさん詰まった実家だからこそ、住む人全員が納得できるリフォーム・リノベーションを行いたいですね。